香川県東かがわ市は、日本国内で作られる手袋の90パーセントを生産する産地です。日本の手袋産業発祥の地として、この地に手袋工場が作られてから120年にわたって、縫製技術が高められ、デザインに磨きがかけられてきました。
地元では、皮や繊維などの素材の特性を生かした縫製の手法に工夫が重ねられてきました。生地の裁断に始まり、編み立て、縫製、仕上げに長年の技術の積み重ねが生かされています。
東かがわ市では、ファッションやブライダル用の手袋を始め、ゴルフ、野球やスキーなどの各種スポーツ用手袋、耐久性や耐熱性などの機能が高められた消防や工業用の特殊手袋といった様々な手袋が作られています。
そんな中で、手袋メーカーに勤務していた平田進がメーカーを退職し、自ら手袋を製造しようと独立したのが、昭和46年。自宅に運び込んだ1台の裁断機から、平田商店の歴史が始まりました。
当初は地元メーカーから支給された素材を使って、指示通りに仕上げる賃加工が主でしたが、丁寧な裁断と縫製の技術が徐々に認められ、やがて縫製を担当する作り手も増え、高い技術に対応できる工房として、平田商店の名前は浸透していきます。
著名なファッションブランドや紳士・婦人服メーカーの手袋も依頼されるようになったことで、細かなリクエストにも対応できるよう、指示書に沿って型紙起こしから、裁断、縫製などバランスを調整しながら完成度の高い商品づくりを目指します。
平田商店の名が業界内で定着するとともに、生産量も拡大していった平成16年、進の息子、哲也が平田商店のものづくりに加わることになった。造船会社でエンジニアをしていた哲也が、30歳を迎えたのを機に、手袋製造の後継者の道を選んだのです。
両親の作業する姿を見ていた哲也は、ものづくりに対する情熱が培われてきました。手袋生産の技術を身につけるとともに、日本一の手袋産地である東かがわ市で、高い技術を育んできた平田商店として、どのようにものづくりを継承、発展させていくのかを考えるようになっていきます。
厳しい価格競争の波を受けて、価格を抑えた手袋の中心は」海外に移っていきます。そうした中で平田商店では、フィット感を出すために革を手に馴染みやすくしたり、耐久性を高めるためにパーツに独自の工夫を施すなど、産地の技術を守り、さらに磨きをかけていきます。
平田商店では、天然皮革素材を生かしたデザイン・ファッション製品のコンペティションである「ジャパンレザーアワード」に毎年、商品を出品しています。2017年には、ファッションとデザインの展示会であるrooms34でも商品を発表するなど平田商店は、手袋づくりのさらなる高みを目指し、前進をし続けていきます。
革手袋職人の両親の背中をみて、そして生まれ育ったこの街(てぶくろ市)で新しいことに挑戦し、オンリーワンの革手袋を作り続けます。
”ありがとう”感謝の気持ちを忘れず日々努力し心のこもった革手袋を提供します。
平田商店 平田 哲也
長年革(天然素材)にたずさわりその素材に合った製法に匠の技を生かし、使ってもらう人に満足してもらえる物作りをモットーにしています。
平田商店 平田 進
革を一枚ずつ傷を避けながら裁断していきます。
ロットの多いものは、抜型を製作し、油圧裁断機にて一枚ずつ裁断します。ロットの少ないものは、革裁断包丁にて裁断しています。
熟練した職人が革の伸び方向や特性を考えながらする作業です。
革の縫製の一番難しいところは、縫い直しのきかないところ、一針一針丁寧に縫い合わせていきます。
表に見えるステッチ(ピケ)は、針一本分縫い代が変われば見た目が変わるため特に注意してする作業です。革一枚ずつ厚みなどが違うためミシンの調子をとりながら慎重に縫い合わせます。
裏生地(キュプラ、シルク、カシミヤ等)は、はめ心地を良くするため薄い生地を使用し、手袋同様に二重環ミシンを使用し縫い合わせます。慣れないと上手に縫うことはできません。
商品化する最終作業、シワをのばし手袋を綺麗に仕上げていきます。
「女性が外出する際に化粧をするようなもの・・・・・」誰に見られても綺麗に見られたいですよね。
縫いほつれ等がないか?最終チェック!!